8月27日の練習は久しぶりに小川先生によるレッスンでした。いつもながらキビキビとしたテンポで進められるレッスンは小気味の良いものでしたが、本番前にもかかわらずまだまだエンジンのかからない団員を前に厳しい言葉が飛ぶことも・・・。
曰く「歌詞にこめられた感情を表情に出して、『慰めTroestet』と歌うときは乱暴に歌わず慰めの気持ちをもって歌いなさい」。
「カデンツァの前になるとテンポが落ちる」というご指摘も。その対策として「バスパートの進行を良く聴きながら歌いなさい」とのご指導。バスパートは通奏低音をなぞっていることが多く、テンポを律する要素として不可欠です。
134番の合唱曲はソロとの掛け合いが聴きどころですが、ソロがリードして合唱につなぐところでうまく合唱が入りきらないことがあります。小川先生は「ソロに頼らないで自分のパートをしっかり歌いだすこと」というご指摘で合唱団員が一人ひとり主体的に曲に向かうことの大切さを強調されました。
面白かったのは「口が垂れ下がらないように、引きあげて歌いなさい」というご指摘。日本語の発声だと自然と口が垂れ気味になるが、ドイツ語を始めとする西洋の原語は口元をあげ気味にしてしゃべらないと明確な発音が出来ない、とのこと。
筆者も仕事で英語を良く使いますが、時々英語を話しているときと日本語を話しているときとでは自分の声質が違っていることに改めて気づくことがあります。
次回(9月3日)は10時から5時までの一日練習で本番2週間前のラストスパートをかけます!
写真は前回演奏会での小川明子先生のソロ演奏のスナップ、そして私達の練習場所の巣鴨教会です。
8月20日の練習も先週と同じメニューで演奏曲を全てさらいましたが、前半にカンタータ187番のアルトパートの「特訓」を2組に分けて小川先生からいただきました。以下はパートマネジャーからの生々しいレッスンの報告です。
「BWV187のメリスマの箇所での指導。いつも言われることですが、ハーモニーの上でメリスマを歌うこと。ハーモニーの動きは単純だけれど、変化を感じて歌う。このことが具体的にはどのようにすればいいのかイマイチわからないのですが・・・又、16分音符だからといってあわてないこと。かと言ってもはや一音一音音符を追う段階ではない。との厳しいお言葉。メリスマの核になる音の流れを把握して、細かい音をつけてゆくのも一つの練習方法とご指導いただきました。
その他の箇所では
- 音が下がる時に、息をもっとはき続けて響きを消さないように。
- 長く伸ばす音をただ伸ばすのではなく、抑揚をつけて次の音に音楽的につなげていき、流れを大切に!
- フレーズの最後や、長く伸ばす音で遅れないように!
- アルトでは最後が和音の第5音で終わることが非常に多く、下がらないように!
などなどのご指摘がありました。
左半分と右半分から違う音が聞こえてくると言われたのにはガックリきました。
先生が要所要所で歌ってお手本を示して下さるのですが、私たちのとまるで違うんですよね~ でも少しでも近づけるようにとの具体的なお手本で、練習の方向が示されたと思います。」
「BWV134の全体練習では、小川先生がテナーとの重唱の部分を歌ってくださり、アルトの出の難しさを実感したり、歌わない部分を歌ってしまったりと失敗もあり、本番に向けての良い練習となりました。又、先生のブレスの場所などもわかり勉強になりました。
あと一月をきり、このままではいけないと皆自覚できたと思います。流れを大切にした練習、細かい音の見直しも必須と猛反省です。練習あるのみ!を実感した20日のカンムジでした。」
次回の練習(8月27日)は小川先生による全体指導ですので、気を引き締めて平日の個人練習をして臨みたいと思います。
写真は前回演奏会のアルトの皆さんです。やはり小川先生は姿勢も宜しいし口のあけ方がサマになっています!
8月13日の練習は先週と同じく、前半はカンタータ134番の合唱曲をさらったうえで、後半は187番のコラールと最初の合唱曲を練習しました。
最後の15分間ではト短調ミサを通して演奏しました。ト短調ミサを通したことで本番前一か月にもかかわらずまだまだの仕上がりであることが多くの団員の実感として残ったことと思います。
両カンタータの練習で印象深かったのは、曲の区切りでパート全体が一拍遅れて終わるという「珍現象」が二回、別々のパートで起こったことです。ここで改めてテンポを正確に取ることについて渡辺先生より指導がありました。曰く「音程とテンポがどちらか大切かとあえて問われればテンポと言わざるをえません、テンポを間違えると元も子もないからです。」
バッハの対位法の曲は4つの声部がある時は数拍おいてそれぞれ進行し、ある時は和声的に一緒に動き、またある時は2つずつ組になって動いたりして、まさに変幻自在、目の回るような複雑な綾を織りなします。それを正確に表現するにはテンポ感を一人一人の団員がしっかり持って自分で音楽を作り出していくのだ、という自立した気持ちが何よりも必要になってきます。
西欧文化が自立した個人を基盤としている、というよく言われますが、そのことはこういった芸術の領域でも体験できるのかもしれません。
8月6日の練習はカンタータ134番の合唱曲、Erschallet, ihr Himmel, erfreue dich, Erde を前半にさらいました。
バスは「地声が出る傾向にある」との渡辺先生の指摘で小川先生が別室で5名を特訓。貴重な時間でした。小川先生の指導を受けると身体を楽器として意識して姿勢を正しく保ったうえで頭の先から背骨を通って地面にエネルギーを流すことがいかに大切かが分かります。
練習の後半はカンタータ187番の最終曲コラール、Got hat die Erd schoen zugericht をさらった後、第一曲の Es wartet alles auf dich をみっちりと復習しました。
最後はEs wartet のパロディー曲であるト短調ミサの最終曲、Cum Sancto Spirituをさらいました。
ドイツ語とラテン語ではほとんど同じ曲であっても歌詞の意味が違うこともあり、印象は全く異なります。こういうところにもバッハの世界の奥深さが実感できます。