0917_0042.jpg

今回はソプラノのパートマネジャーさんから寄稿いただきました。同じ練習をしても、人それぞれに注意を払うことがらが少しずつ違うのが興味深いですね。写真は第26回演奏会のゲネプロ風景です。

カンタータ第80番(BWV80)「われらが神は堅き砦」の練習も本日で3回目となります。反福音主義勢力との戦いに臨んで神への熱烈な信頼を歌う、ルターの有名なこのコラールはルターとバッハの強い精神的な絆を示す作品として知られている、とある解説書にあります。

まず発声練習ではピアノの音に合わせて最初から正確な音程で発声をする。特に低音域は注意するように。音程を注意するには力まずに、最初の音、立ち上がりをはっきりと歌うと良い。ドイツ語歌詞をつけて音程を確認しながら丁寧に発声練習をするうちにおのずと暗譜が出来ると思いました。時に楽譜から顔を上げて渡辺先生の口元を見ると日本語には無いドイツ語特有の口の動きがあり、視覚で確認することも大切だと思います。

先週に引き続き第1曲 ニ長調 4/4拍子 コラールがフーガ風に展開される。

9節に分かれる歌詞の第1節「Ein feste Burg ist unser Gott」から第5節「Der alte böse Feind」までを各パート別に、またソプラノとテノール、アルトとバス、と組み合わせを変えながら音程、発音を何度も繰り返して練習しました。自分のパート以外を歌うことは譜読みに緊張感が生まれ、他のパートの音から和声が感じられて大変良い練習になりました。この続きは次週の小川先生ご指導を楽しみに各自で音取りをしっかりとしたいと思います。

第5曲 ニ長調 6/8拍子。管弦楽によるジーグ風のリズムは世に満ちた悪魔との激しい戦いを暗示しコラールが全声部で斉唱されるのは神の陣営に立つ者の団結を象徴しているとあります。まず間奏を入れずに賛美歌のように全パートでコラールを続けて歌う練習をしました。そのことによって歌詞の意味が理解しやすいと思われます。

大切な四原則 ①テンポ ②リズム ③音程 ④歌詞 の内 ③と④を今回も集中的に練習しました。

また本日何度もご注意を受けたキーワードはやはり「顔を上げる」「譜面を見ない」でした。

2016/10/10 21:52

今日はカンタータ80番の冒頭の長い合唱曲「Ein feste Burg ist unser Gott 神はわれらの堅い砦」の前半を初めて練習しました。この合唱曲だけで61ページある全曲の28ページを占め、114小節、演奏時間も6分から7分かかる長大なものです。バッハの宗教カンタータでは最初の曲が長い合唱曲となっているケースが多いのですが、80番の合唱曲は長いだけでなく、複雑なフーガが壮麗な曲想で展開されています。

先ずはドイツ語の発音から小川先生が指導されました。小川先生のドイツ語は若い頃ウイーンに留学された本場仕込みのものですので、私たちのドイツ語の発音指導はもっぱら小川先生が担当されています。2行目の「Ein gute Wehr und Waffen (神は)良き守りで良き武器です」の "Wehr" は「ヴェア」と「ヴィア」の中間、むしろ「ヴィア」に近いとのこと。

ルターのコラールのテーマをテノールが歌いだし、アルト、ソプラノ、バスがそれぞれ2小節半ずつ遅れてテーマを歌いだすのですが、テノールとソプラノがコラールのテーマそのものを歌うのに対して、アルトとバスはその4度下(レに大してラ)で対旋律を歌いだします。テノールとソプラノ、アルトとバスはそれぞれ組になってスタートするものの、すぐに4つのパートがそれぞれ独自の動きをするようになり、一見バラバラに動いているようで和声進行の上では統一の取れた関係性をお互い保ちながら曲がすすむ有様は見事です。実際のところは歌う身にとっては(今のところは、としましょう)自分のパートを追いかけるのがやっとですが。

歌詞については、大まかに言って一行ごとに同じ歌詞を4つのパートが歌うのですが、フーガの場合はパートごとに旋律がずれて歌われるので、同じ言葉を別々のタイミングで発音することになり、演劇で言えばあたかも4人の人が同じせりふをバラバラのタイミングで話しているかのような印象を与えます。これがフーガを器楽ではなく、声楽で聴く面白さにつながっています。全体では「神は堅い砦だ!」と叫んでいる群衆をばらすと、ある人たちが「神は」と言っている横で「堅い」と言っている人たちがいて、別に「砦」と叫んでいる人たちもいる、といった感じです。

バッハの天才はこの一見バラバラな動きに統一された方向性を与えていることにあります。この統一感は和声進行によって与えられます。これを体感して歌うためには自分のパートだけでなく、他のパートも何を歌っているのか分かっていなければならないことになります。渡辺先生はしばしば4つのパートをひとつずつ全員に歌わせますが、それはそのためではないかと思います。

今日の練習で小川先生は「一人ひとりがお互いに『合わせる心』がなければ、いくら指揮を見ても息の合った合唱はできないよ」と指摘されました。至言ですね。自分のパートをしっかり歌いつつも他のパートに「合わせる心」を持つ。言うのは簡単ですが、実行するとなるとつい自分のパートを一生懸命追いかけることで終わってしまいがちです。考えてみれば、これは人生を生きていくうえでの叡智だな、と思ったりします。家庭や職場でのハーモニーは存外、合唱のハーモニーと同じ心構えで実現するのかもしれません。

2016/10/02 22:27
151121_228.jpg

カンムジの練習は毎週土曜日の朝、10時から正午まで年末年始の一回を除いて「年中無休」です。

ですから演奏会の翌週でも次回演奏会に向けての練習が始まります。というわけで、今日の練習からカンタータ80番の練習が始まりました。

次回の演奏会は来年、2017年の9月か10月に行う予定ですが、2017年はルターが「95か条の論題」をヴュッテンベルグ教会の扉に貼りつけた宗教改革元年から500周年にあたります。「神はわれらの砦」はルターが作曲した数多くの讃美歌の中でもとりわけ有名なものですが、バッハはこの曲をもとにカンタータ80番を作曲しました。合唱、デュエット、ソロと様々な形態の曲が7曲組み合わせさってできています。

カンタータ80番で合唱団の出番は第1曲の長いフーガ合唱曲と第5曲・第7曲のコラールです。今日の練習はコラールの2曲を取り上げました。コラールはちょっと聴いただけでは簡単に聴こえるのですが、正確に歌うのはそれなりにしっかりした技術が必要です。今日の練習ではニ長調の音階を何度もしましたが、このコラールの旋律がニ長調の音階を正確にこなすことできちんと歌えるようになることが分かりました。

あとは一人一人が(隣の人に頼ることなく)自主性をもって歌うことでアンサンブルとしての輝きが出てきます。今日の練習の締めくくりは自分の隣が自分と違うパートとなるようにバラバラに立って歌いました。自分がしっかりしていないといけないのでこれは良い練習になります。

来週からは長大なフーガの第1曲を練習します。4年前の第21回演奏会で演奏しているのですが、初心に戻って取り組みたいと思います。

2016/09/25 22:59
142.jpg

9月17日の演奏会は心配されていた天気にも恵まれ、浜離宮朝日ホールで397名のお客様をお迎えして予定通り無事終えることができました。これもひとえに聴きに来て下さったお客様、普段から私たちを辛抱強く指導して下さる渡辺先生と小川先生、一緒に合唱部分も歌って下さるソリストの先生方、そして大西律子さんの率いるオーケストラの皆さんの温かいサポートがあってのことです。心より感謝申し上げます。
今回の演奏会で取り上げた『ト短調ミサ』と『カンタータ187番』は音楽的に共通する曲が4つありますが、そのうち1つは大がかりな合唱曲です。プログラム冒頭の「カンタータ187番」の「Es wartet alles auf dich 人は皆期待して待っています」とプログラムを締めくくる『ト短調ミサ』の「Cum sancto spiritu 聖霊とともに」が同じ音楽であるにもかかわらず、本番のステージでは前者が演奏会の始まりだったためか緊迫感のある演奏だったのに対して、後者は舞台に慣れた団員がラストスパートよろしく自由に歌っていたように感じました。これは実際に演奏会後に録音を聴いてもある程度検証できます。このあたりは普段の練習やリハーサルでは予想できない、本番ならではの現象ではないかと思います。発音の難しいドイツ語と比較的簡単で決まりきった歌詞のラテン語の違いも影響しているのかもしれません。
プログラム中間に演奏された『カンタータ134番』では徳島から私たちの演奏会のために上京された頃安先生の円熟したテノールソロと私たちの指導者、小川先生の安定感のある溌剌としたアルトとのデュエットがお客様と後ろで控える私たち団員を魅了しました。バッハの教会カンタータというと、宗教的なメッセージのせいか、どちらかというと厳かなイメージが強いのですが、こういった弾けるような明るいカンタータもあるのですね。締めくくりに私たちがお二人の先生方に唱和して最後の盛り上がりを演出できたのは幸せでした。
今回のソリストはお二人のほかに柳沢亜紀先生と山田大智先生でした。柳沢先生はいつもながらチャーミングな声質を生かされた187番のソプラノアリアを披露され、山田先生は以前にもまして柔らかさを増したビロードのようなバリトンで187番とト短調ミサの同じ曲を歌い分けられました。一流のソリストである先生方が合唱曲を私たちと一緒に並んで立って歌って下さるのは私たちの大きな励みとなります。
『ト短調ミサ』の演奏が終わり、指揮者、ソリスト、オーケストラの皆さまが退場されたあとに合唱団が残され、いざ退場という段になっても400人近くのお客様がほとんどお帰りになることなく拍手を続けてくださり、最後の合唱団員が退場しても拍手が鳴りやまなかったのには感激しました。バッハが作曲にあたって託したさまざまなメッセージが今回の私たちの演奏を通して聴衆の皆さまに少しでも届いていれば、と思います。
今週の土曜日から一年後の演奏会に向けて練習を再開します。カンムジは年末年始に一回休むだけであとは毎週土曜日の午前、休むことなく練習します。練習を見学されたい方は大歓迎です。事前にご連絡のうえお越しください。
(写真は演奏会で熱演する渡辺善忠牧師)

2016/09/20 22:45

9月10日の練習は本番前の最後の練習ということで団員の本気度はかなり増してきた感じです。もっと前からエンジンをかけるべきなのはいつもながらではありますが・・・。

 

さて、今回もカンタータ134番の合唱曲をさらってからカンタータ187番の合唱曲とコラール、最後にト短調ミサを通しでさらいました。演奏はまとまりつつあるのですが、まだどうしても細部の音程・リズム・発音の不安は否めません。
例えば、187番のコラールの出だしにあるLaesst's の「aウムラウトまたはae」をいまだに多くの団員が「ア」と発音していました。正しくは「エ」(日本語の「エ」よりは少し「ア」の近く、また口を大きく開けますが)です!

134番でバスとテノールがEr troestet und stellet ...」と歌いだすところはもっと「慰め(troestet)」をもって歌うべきなのですが、どうしても朗々と歌ってしまいます。小川先生は「滑らかに流線型の音型を意識して」と指導されていました。器楽が論理的であるのに対して声楽はイメージに基づいた感覚の芸術だな、と改めて感じた次第です。

 

今週の水曜日と木曜日はオーケストラとソリストの皆様をお迎えしてリハーサルを行います。気を引き締めていきたいと思います。

2016/09/12 20:35
1 2 3

〈合唱団員随時募集中〉

新規メンバーを募集中です!

パートは問いません。

入団にはオーディションはありません。合唱の経験がなくても大丈夫です。詳しくは「入団のご案内」をご覧ください。

見学をご希望の方は事務局までご連絡ください。

練習:毎週土曜日 10:00〜12:00

日本基督教団巣鴨教会(→MAP

03-3990-3686