9月30日に行われる私たちの演奏会で取り上げられる曲の歴史的背景を渡辺義忠先生が分かりやすく解説する催しが巣鴨教会で行われました。団員約20名、一般の方々20名あまりのご参加をいただき、お茶菓子の休憩を挟んで2時間、ルターゆかりの賛美歌第267番「神は我がやぐら」やトーマス・タリスの賛美歌第36番「この日の恵みを今こそたたえめ」などを歌いながら、波乱の宗教改革の時代を生きたドイツや英国の人々の心に思いを寄せつつ、あっという間の2時間となりました。
ドイツ東部のヴィッテンベルグ大学の神学教授だったマルティン・
ルターは音楽にも造詣が深く、自ら多くの賛美歌を作曲してそれらに民衆にも分かるドイツ語の歌詞をつけましたが、なかでも最もよく知られたものに「神は我がやぐら」があります。ルターから時代を下ること約200年後にバッハは「神は我がやぐら」を元に壮麗な対位法と和声を添えてカンタータ80番を作曲し、宗教改革の精神をドイツ語の歌詞と音楽に再現しました。
イギリスではルターに遅れること数十年、ヘンリー8世の離婚問題を皮切りに英国国教会がカトリック教会から分離する形で宗教改革が進められましたが、17世紀に入って欽定訳聖書が出されて民衆の言葉である英語で聖書が読めるようになり、クロムウェルの清教徒革命を経て徹底したカトリック教会からの分離が進められました。
バッハと同年生まれのヘンデルはドイツからイタリア経由、イギリスに渡