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今日の練習は小川明子先生の指導をいただきました。普段指導いただいている渡辺先生は元々はオルガニストですので、合唱曲といっても楽曲へのアプローチは鍵盤楽器を演奏する観点からされるようです。具体的には楽曲の和声進行に基づいて各パートの音程やリズムの調和を厳格に指導をされます。一方、小川先生は声楽家として合唱曲にアプローチされるので歌い手として自然な歌い方を強調されます。やや極端な形容の仕方かもしれませんが、渡辺先生は頭脳的なアプローチ、小川先生は身体的なアプローチ、と言えましょうか。同じバッハの曲でもアプローチの仕方によって結果として出てくる演奏に大きな違いが生じるのは興味深いところです。

さて、今日はカンタータ80番から先ずは第5曲の斉唱をさらいました。その時小川先生が強調されたのは「身体全体で喜びを表現すること」でした。この曲では歌詞の一行ごとに合唱団が歌うのをぬってオーケストラが華やかな間奏を入れていくのですが、その一行を歌い終わるたびに我々は笑顔で「万歳」をして喜びを身体で表現しようと先生は提案されました。万歳するとともに歌い終わりに息を吸ってしっかりと一行ごとの終止形を表現する。そうすることによってメリハリのある音楽づくりができる、という教えでした。

第8曲のコラールでは最後の2小節の das Reich muss uns doch bleiben を何度もさらいました。小川先生は最後の言葉、bleiben(留まる)の "i"をしっかり息を出しながら発音することを強調されていました。素人の集団でもこれだけ同じフレーズを何度もさらうとだんだん文字通り「息」が合ってきて、最後のニ長調のハーモニーに倍音が入ったかのように聴こえたそうです。「そうです」というのは歌っている当の筆者には全く分からなかったのですが、小川先生を始め何人かの団員は高いF(第三音)の倍音が聴こえたとのこと。何とも不思議ではあります。

最後に第1曲の合唱曲の前半、59小節目までをさらいました。この曲の前半は4行からなる歌詞に基づきますが、そのうち1行目(Ein feste Burg ist unser Gott 神は私たちの堅い砦です)と3行目(Er hilft uns frei aus aller Not 神は私たちをあらゆる苦難から助け出してくださる)にルターのコラールの基本テーマが充てられています。このテーマは4つのパートが代わるがわる担当して目まぐるしく出たり入ったりするのですが、この出入りの精妙さがこの曲の聴きどころとなっています。ここで小川先生は面白い指導をされました。この基本テーマを歌っているパートがその時だけ立ち上がるように指示されたのです。逆に言えば、第2行と第4行を歌っているときは座るようにされました。具体的には第1小節から第3小節がテノール、第3小節から第6小節がアルト、第6小節から第8小節がソプラノ、第8小節から第11小節がバス、第13小節から第16小節がアルトが立って歌う、といった具合です。

面白いもので、「さあ、テーマを歌うぞ」と思いながら立ち上がって実際に歌うと気合が入ってしっかりとテーマが口につきます。そしてテーマを歌い終わって対旋律を歌うために座ると声量も自然と落ちつきます。何よりも面白いのはテーマを歌っているのがどのパートなのか視覚的に分かるので、刺激が耳からだけでなく眼からインプットされて、曲の立体的な理解が進んだことでした。練習後、ピアノ伴奏の渡辺悦子さん曰く、「いつものカンムジと比べて10歳から20歳若返ったかのように生き生きとした声が、テーマが繰り返されるたびに湧き出てきてすごく楽しかったし、ピアノ伴奏をつけやすかった」とのこと。こんな事ってあるものなんですね。

また大変感心したのは、小川先生がこの練習方法をあらかじめ計画されたわけでもなく、その場のインスピレーションで発案されたことです。こういったところに小川先生の指導者としての才能を感じたのは筆者だけではなかったと思います。何はともあれ、楽しい2時間でした。

写真は前回の演奏会本番です。

2016/10/19 09:44

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